【デンマークレポ】デンマークの公立小中学校ってどんなところ?

デンマークといえば、エフタスコーレやフォルケホイスコーレなど、特色のある学校が注目されています。でも、デンマークの一般的な公立学校ってどんな感じなんだろう?日本とはどんな違いがあるんだろう?と気になっていました。

この記事では、デンマークの公立小中学校についてご紹介したいと思います。

こちらでは、校長先生(左)とユニセフ連携担当の先生(右)が案内してくれました。

ここに来る前に、デンマークの特色ある学校や先生を見てきたので、公立学校に来てみての第一印象は、「お、なんか学校っぽい。デンマークに来て初めてYシャツ着てる人を見た気がする。」でした。それでも先生の首元にはクロムハーツが光っていましたが。イケてます。笑

デンマーク公立学校の概要

さて、まずは今回訪問した学校の概要から。この学校はコペンハーゲンの一般的な公立小中学校です。
Husum Skole
https://husumskole.skoleporten.dk/sp

・生徒約680人
・職員約70人(日本の2~3倍)
・0年生~9年生(0年生は年長さん)
・1クラス約25人
・インクルーシブ教育採用

外観はこんな感じ。派手な色なのに馴染んでいる不思議。

中に入るとこんな感じ。なんて美しいデザイン!

9年生の教室はこんな雰囲気。

ここは職員の休憩スペース。「飲み物食べ物、どうぞご自由に~」

校庭。ひろ~い!

デンマーク公立学校の特徴5つ

それではここから、特徴的だと感じた5つのポイントをお伝えしていきます。

①職員が多い・層が厚い

まず圧倒的なのは、職員の数の多さ、層の厚さです。職員の内訳はこんな感じ。
 ・教師
 ・サポーター
 ・ペタゴー
 ・清掃員

だいたいどこの学校でもこのような構成になっているようです。教師以外にも、学びを支えるサポーターや、子どもの心の育ちを担うペタゴーという専門家が常駐しているんですね。

例えば授業中、教師は「どうしたら知識がよく伝わるかな」ということを考えて教えます。

サポーターは、「この子はLD(学習障害)だから、このITツールを使うと良いかな」と考えて学びをサポートします。

そしてペタゴーは、「机に座って授業を受けるスタイルはこの子に合っているかな?この学校以外の居場所の方がフィットする可能性はあるかな?心に問題はないかな?家庭環境はうまくいっているかな?」という視点で子どもを見て、子どもの成長を支えます。

ペタゴーは、デンマークの教育を語るうえでキーポイントとなる職業だと言われていますが、こちらの学校では
・0年生 クラスに常駐
・1~3年生 授業の6割に入る
・4年生以上 必要に応じてサポートに入る

という要領でサポートに入っているようです。低学年の年齢の子どもたちを主な対象としている感じですね。

②インクルーシブ教育

こちらの公立学校では、インクルーシブ教育を採用しています。ほぼ全てのクラスには、何らかのスペシャルニーズのある子が在籍しているとのこと。

LD(学習障害)の子が教科書を読み上げてくれるITツールを使うのも、音に敏感な子が音の響かない教室で授業を受けるのも、視覚情報に敏感な子が机を壁に向けているのも、当たり前のようにやっているという様子でした。欧米では標準といった感じですかね。

しかし中には、公立学校よりも他の居場所のほうが良いと見極められる子もいます。

「大人が他の居場所の方がよいと判断しても、子どもが嫌がった場合はどうするんでしょう?」という質問があがりました。

校長先生の回答はこうでした。

「もちろん子どもの意思は大事です。でも子どもにとって何が一番良い環境かは、子ども、大人が一緒になって、たくさん対話しないといけません。これまで別の場所に送り出した子もいますが、その子のためにならなかったことはないと思っています。その子のいきいきとした表情をみれば分かります。」

すごいと思いませんか。この自信!

子どもも、親も、先生も、専門家も、それぞれの意思や専門知識を出し合って徹底的に対話して、子どもにとって最善の道を導きだすということが行われています。

③職員は異動がない

これは今回のプログラムのコーディネーターから聞いたのですが、職員は各学校が採用していて異動がないというのです。

「え?異動で引っ越すなんてまじでありえない。」らしいです。笑

職員のプライベートの安定もキーポイントですね。

「先生のメンタルのサポートはどんな風にしているのですか?」という質問にも、校長先生から興味深い答えが返ってきました。

「先生としての要素には3つの輪があります。いちばん外側の輪は先生としてのスキル、次の輪は個性やタイプ、一番真ん中はプライベート。スキルや個性はふんだんに使ってほしいけれど、プライベートは使ってほしくありません。プライベートが浸食されると精神状態が不安定になりますから。」

私のメモより

④ITを駆使した親とのコミュニケーション

それから、学校と親との基本的な連絡は、オンラインで完結します。
このようなオンラインページがあって、クラスの時間割、授業を担当する先生、行事、連絡事項などが一覧で見られるようになっています。

オーノー。子どもがおたよりを無くして行事予定が分からない。なんていうことは無いんですね。

日本の学校の紙文化はいったいいつになったら変わるんでしょう。メスを入れようとチャレンジしている方も沢山いるのに、なかなか変わらない。私の両親も公立校の教員だったので現場を変える難しさは分かるのですが・・。IT活用の遅れ具合には危機感を覚えます。

先生はITツールを使って事務作業をどんどん減らして、親と直接コミュニケーションをとることに時間を使えるようにしています。

親に学校に来て授業を見てもらったり、サポートの必要があれば心理カウンセラーを入れて話をしたり、親と学校で綿密にコミュニケーションとることを大切にしているということでした。

これは先生には聞けなかったのですが、「デンマークにはモンスターペアレントなんていないんだろうね。」という話もあがりました。

実際に、ホームビジットでおじゃましたお家のママは「嫌な先生がいたとしても、決して子どもの前で先生のことを悪くは言わないわ。だって子どもが先生を信頼できなくなってしまうから。」と言っていたんですね。

子・親・先生の信頼関係がなんて強いんでしょう。子どもは、この信頼関係の土台の上に成長していくんだよなあ!!

⑤子どもの発達に必要な遊具が充実

校庭には、跳ねる、回る、登るという、子どもが発達するうえで重要な刺激が得られる遊具が沢山ありました。日本だと、危ないって撤去されちゃったような遊具もあったなあ・・。

一緒に行ったメンバーの中には感覚統合を専門にされている方がいらっしゃったのですが、「素晴らしすぎる!子どもの発達にとってどんな刺激が大事か、大切に考えられている。」なんだそうです。

みんな、校庭に出ると自然と遊具で身体を動かしていました。落ちたり転んだりしてケラケラ笑っていて、いい光景だったなぁ。


デンマークっ子との熱い対話

先生方のお話の後には、9年生(中学3年生)と対話する時間をいただけました。
これが盛り上がったのなんの!お互いに質問が止まらず・・予定時間を大幅に過ぎていたと思います。

みんな最後までありがとう!

ここでは、彼らの見事に鍛えられた対話力を目の当たりにしました。相手の話を真剣に聞くまなざし、手を挙げて自分の考えを表現する姿勢、素晴らしかった。

表面的にQAをしているだけではなく、相手への関心や相手と心を通わせようとしている気持ちが伝わってきて、感動しました。

こんなやりとりがありましたよ。

【デンマーク→日本】
Q.日本では犬とか猫を食べるの?
A.あはは、食べないよ~。

Q.宿題って多いの?みんな第三外国語を勉強するの?
A.宿題の量は学校とか先生によってかなり違うかな。第三外国語は学校によるけど、大学ではみんな勉強するよ。

【日本→デンマーク】
Q.日本の学校ってどんなイメージ?
A.すごく厳しい。制服着てる。勉強は大変そうだけど頭がいい。

Q.自分の夢を語ってくれる人?
A.(どんどん手があがる!)
建設関係の仕事。心理カウンセラー。飛行機のエンジニア。プロゲーマー。インテリアデザイナー。経済学者。・・

Q.あなたにとって幸せってなに?
A.(これもどんどんが手あがる!)
ヒュッゲ。食べ物。笑うこと。自分の日常をコントロールできること。言論の自由。文化。・・

全体を通しての気付き

最後に、全体を通しての気付きを2つ。それは、「強い信頼関係」「対話」です。

強い信頼関係

子ども・先生・親の間に強い信頼関係があることをビシビシと感じました。

デンマークっ子との対話の中で、私たちから
「先生ってどんな存在?」「親ってどんな存在?」という質問をしたですが、

「先生は、聴いてくれる。理解してくれる。手伝ってくれる。勉強だけじゃない色々な場面でサポートしてくれる。」

「親は、自分のために聴いてくれる。問題解決を手伝ってくれる。一緒にいてくれる。生き方を見せてくれる。心の中にあることを打ち明けられる。」

こういう答えが返ってくるんですね。

ああ、この子たちは愛されているんだなー。安心につつまれているんだなー。っていうのが伝わってきて、涙が溢れそうでした。

前述したママの「嫌な先生がいたとしても、子どもの前では先生のことを決して悪く言わない。」というエピソードにも、彼らの信頼関係の強さが象徴されていると思います。

人は、相手に対する信頼を失ってしまうと、そこからは何も学べなくなってしまうんですよね。逆に、どんな相手でも信頼をもって向き合えば、必ずなにかうまれる。

相手に対する信頼を失うことほど怖いことはないと思います。そして、相手を信頼できることほど強いことはない。

徹底的な対話

それじゃあいったい、その信頼関係はどこから生まれるのか?というと、それは「徹底的な対話」なんだと思います。

彼らは、生まれた時から、対話を重ねれば自分たちにとって最適な方法が見つけ出せるという経験を積んでいるんですね。

意見の違いも価値観の違いもあるというのが前提。でも、「あなたはそれでよいし、私は私でよい。」というように相手も自分も受容して、お互いが納得できる道を選んでいます。

ふと思い出して、デンマークに来る前に矢野拓洋さんのお話を聞いたときのメモを見てみると、そこには「信頼」と「対話」っていう言葉があったんです。

おお~!

特に意識していたわけではないけれど、実際にデンマークに来て、彼らの言葉の端々に出てくるものや、表情、その場に漂う空気感などから肌で感じたものが「信頼」と「対話」だったことに驚きました。

でもこれって、すごく高度なことでもないし、デンマークじゃないと出来ない事でもないんですよね。

私も今日から出来るなぁって。

子どもが「お風呂入りたくない~」って言ってテレビを見ていたら、テレビをばっと消して「早く入りなさい!」と言うんじゃなくて

「何で入りたくないの?」「どうしたい?」と問いかけてみようと思います。

それでは最後集合写真をもう一度のせて、公立小中学校のレポートを終わります。

みんないい顔してる~!

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