「思春期のHSCは無謀なことはしない、それほど手がかからない」
アーロン博士はこのように言っていますが、思春期のHSCはある種のリスク、危うさを持っていることもきちんと知っておいた方がよいでしょう。
この記事では、特に思春期特有の、「恋愛・性にまつわるリスク」と親にできることについて取り上げます。
HSCだった私の経験談もご紹介しているので読みやすいと思います。
目次
思春期のHSCならではの「恋愛・性にまつわるリスク」4つ
思春期のHSCが陥りがちな恋愛・性のリスクを、4つに分けてご紹介します。
1、なぜか変な相手を引き寄せる
なぜか、自分を苦しめるような相手を引き寄せてしまい、頼られたり、利用されたりすることがあります。
その理由は、自己主張が弱いから。HSCにも多いと言われているアダルトチルドレンについて、このような記述があります。
敏感で繊細な子にも多いアダルトチルドレンというのは、自己主張できない性質です。「自分なんか」という認知のゆがみもある。だから、その自己否定が強くなると、自分を痛めつけてくる相手になぜか引き寄せられていき、その結果、疲れ果ててしまう。
アダルトチルドレンは、「対等に」というのが苦手なようです。自信がない、個性がない、自己主張がないですから、対等な関係が結べないのです。
『子どもの敏感さに困ったら読む本』 長沼睦雄 誠文堂新光社 p148
私は高校時代に「あゆみって、なぜか変な人に好かれるよね。」って言われてました。笑
たしかに、周りから”変わり者”と言われる人から好かれることが多かったのです。うつ病の彼氏と付き合っていた事もありました。
当時は「何でだろ?困るわー」
って思っていましたが、いま考えてみると、私の「自己主張が弱い」という性質が、知らず知らずのうちに、そういう相手を引き寄せていたのかもしれません。
2、自分よりも相手を優先する
自分よりも恋人を優先するというのは、よくある事かもしれませんが、HSCの場合は行き過ぎてしまうことがあります。
必要以上に他者に気づかいをしたり、思いやりを持ったり、傷つけないようにします。
これが行き過ぎると自分よりも他者を優先するようになります。他者がどう思うか、どう考えるか、傷つかないか、または機嫌が悪くならないか、怒らないかなどを伺って、それに合わせて発言したり行動します。
そうすると自分がどうしたいかは二の次になってしまいます。自分が我慢して、他者が傷つかないようにすることを選択してしまいます。
『本当は傷つきやすい人たちへ』 西川佳宏 パブフル p33
言い合いになってケンカしているカップルもいましたが、私の場合は、自分の意見をぶつけてケンカするという事は、ほとんどありませんでした。
でも、自分が我慢しているとか、溜めこんでいるなんて思っていないんですね。「私たちはケンカしない仲良しなんだ~」といった調子です。
高3の時に、彼氏がうつ病になりました。
「私がなんとかしなくちゃ」と、受験勉強の合間にうつ病に関する本を読んだり、夜遅くまで電話に付き合ったりしていたこともありました。
幸い、周りの友達の助けもあって「このままではヤバイ」と気づくことが出来て、彼氏とは距離を置く決断をしましたが。
そのままズルズルと引きずられていたらどうなっていたのかと思うと、ちょっと怖いです。
知らず知らずのうちに、自分よりも相手を優先してしまうクセがついていたのだと思います。
3、相手の気持ちがなだれ込んでくる
自分がそうしたいと望んでいるわけではないのに、相手の気持ちがなだれ込んでくることがあります。
このようなお悩みもあります。
つきあっていた子に、こちらから別れを切り出したときや、お友達だと思っていた子からの告白を断ってしまったときに、自分が振られたわけではないのだけれども、その子の気持ちになって、本当に何日も何日も具合が悪いんですね。
もうこの先、心揺さぶられていて大丈夫なんだろうか、と思いました。
『何か他の子と違う?HSCの育て方Q&A』 明橋大二 1万年堂出版 p84
4、望まない男女関係をもってしまう
自分を苦しめるような相手を引き寄せてしまったり、相手を優先し過ぎた結果、望まない男女関係をもってしまうこともあります。男女いずれの側も起こりうることです。
一方で、私がインタビューしてきた人の中には、認められたい、ためらいを隠したいからと、体験を急いでしまったHSCもいました。
みんな、「後になって違ったと後悔したけれど、当時は、もう元に戻れないとは思ってもいなかった」と語っていました。
『ひといちばい敏感な子』 エレイン・N・アーロン 1万年堂出版 p396
相手に認められたいばかりに、嫌われたくないという心理が働き、そのため、相手から何か頼まれると断れないし、「ちょっと違うけどな」と思っても、相手の考え方に同調してしまうのです。
『敏感すぎる自分を好きになれる本』長沼 睦雄 青春出版社 p137
これは一番避けなければいけない事です。HSCは相手の考えに同調しやすく断ることも苦手なのでとくに注意が必要です。
【HSC思春期】リスクから守るために親が出来ること3つ
さて、そんなリスクから子どもを守るために、親には何が出来るのでしょうか?
この時期になると、もう親が直接的に出来ることはあまりないかもしれないですね・・。
もし、日頃から悩みを相談し合うような関係であれば、以下の3つの事について対話をしてみましょう。
反抗期でまともに会話が出来ないような状態であれば、親がしてみせるるだけでも効果があると思います。
どんなに反抗的な態度を示していても、距離があっても、親のことは横目で見ています。中高時代の私もそうでした。言って聞かせるというより、在り方を見せるという感じです。
①自分の気持ちを感じること
まずなによりも大切にしたいのは、自分の気持ちを感じることです。
ウソでしょ?と思うかもしれませんが、HSCは自分が今どういう気持ちなのかに、気付いていないことさえあります。
私もいまだに「どう思う?どうしたい?」と聞かれて「え、ちょっと待って。分からない。」となること、あります。
自分の気持ちを感じるのに、おススメの方法は【自分ふりかえりメモ】です。
こんな風に、その日一日の行動と気持ちをメモします。
「〇〇と会ったらどっと疲れた」
「〇〇を考えたら胸が苦しくなった」
毎日完璧にやらなくても大丈夫、とくに感情が動いたと思う日だけでも十分です。メモを続けていくと、自分の心と体の状態を感じるクセがついてきます。
また、「自分がどんな時にどんな風に感じる傾向があるのか」を客観的に捉えることが出来ます。これはいわるゆ自分のトリセツのようなもので、自分を守るための武器になります。
②境界線を引く
2つ目は境界線をひくこと。HSCが生きやすくなるテクニックとしてよく紹介されていますね。
HSCは境界線がほかの人たちよりも薄いということをしっかりと自覚して、自分の問題と相手の問題を切り離すことが大切です。
境界線を引くとは、次のことを意味します。
- 他人の問題を自分の問題にしないこと
- 他人の責任を自分の責任にしないこと
- 他人がやるべきことを自分がやらないこと
どんな物事も、ハッキリ境界線を引けるとは限りませんが、以下のような状態は「境界線越えている」といわれています。
・親が、子どものために進路や就職先を選んであげる
・子どもが、親の望む生き方をする
・子どもが、親が喜ぶようないい子になる
・子どもが、親の期待に応えられる生き方をする
・私が相手のいう事ばかり聞いて相手はやってくれない
・お金の使い方はすべて相手が決めている
・相手の頼みを断れない
・相手に頼みごとができない
・相手の言いなりになっている
・相手に本音が出せない
③アサーティブな表現を学ぶ
3つ目はアサーティブな表現を学ぶことです。相手を尊重し、傷つきにくくする表現や言葉の使い方のことです。
HSCは自己主張や断り方のテクニックを学んで、自分も相手も大切にした自己表現を使えるようになると非常に役に立つでしょう。
オススメの本
境界線を引くことや、アサーティブな表現について学ぶのにオススメの本はこちらです。
◆『本当は傷つきやすい人たちへ』 西川佳宏
敏感さが生きづらさに繋がってしまうメカニズムから対処法まで、ロジカルに簡潔にまとめられています。気になる見出しから読むこともできますし、とっつきやすいと思います。中高生でも読める内容です。
境界線について理解を深めるには、心理学者アドラーの著書を見るのもオススメです。
「課題の分離」と呼ばれているテーマです。アドラー心理学については沢山の著書が出ていますが、中高生でも読みやすいマンガもあります。「アドラー マンガ」などで検索して好みのものを見つけてみてください。
まとめ
思春期の子どもは、どんどん親の手の届かないところに行ってしまいます。脅すわけではないし、過度に心配する必要もないと思いますが、取り返しのつかない事が起こってしまってからでは遅いです。
知っておけば、守れることもあります。
直接、子どもに何かしてやれなくても、親自身が体現するという方法で親子で成長できたら素敵ですよね。
私自身も、そうありたいなと日々思っています。
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