HSCは育てにくい?HSCと愛着との深い関係

毎朝「この服やだ」とグズり

お友達家族との集まりでは「もう帰りたい」とかんしゃくを起こし

いつもと違う種類の納豆を出すと「これ変な味」と投げ捨て

「抱っこ」って言うから抱っこしようとしたのに「イヤ~!!」と拒否される。

”HSCの気質だから”と頭では分かっていても、ついイライラして眉間にシワが寄ってしまうこと、ありますよね・・。

「どうしてこんなに育てにくさを感じるんだろう?(でも周りにはそんなこと言えない)」

「HSCの気質だからと頭では分かっていても、どうも腹オチしてない感じがする」

と思っている方もいらっしゃるでしょう。
実は、HSCの育てにくさには愛着が深く関係していることが分かっています。

とつぜん愛着と言われてもピンとこないですよね・・。そこでこの記事では、まず愛着について解説し、その後でHSCと愛着の関係について2つのポイントを分かりやすくお伝えします。

具体的には、
・愛着ってなんだろう?
・①HSCは安定した愛着を形成しづらい
・②HSCは愛着の影響を受けやすい

の順でお伝えしていきます。
今までとは少し違った視点でHSCのことをとらえられるようになります。

HSCは育てにくい?愛着について知ろう

「この食器は昔から使ってるから愛着がわいちゃって手放せないの。」

というように、愛着という言葉は普段から使うことがあると思います。

慣れ親しんだ物事に深く心を引かれ、離れがたく感じる事

という意味で使われていますね。

この記事では、もう少し狭い意味で愛着という言葉を使っています。

愛着ってなんだろう?

愛着とは、1969年にイギリスの精神科医であるボウルビィによって提唱されたもので、「子どもと養育者との間に生まれる情愛的な結びつき」のことを指します。英語ではattachmentアタッチメントと言います。

愛着は生後6か月ごろから2歳ごろまでの間に形成されると言われています。赤ちゃんは、いつもそばで見守ってくれ、必要な助けを与えてくれる特定の人を選びます(基本的には母親)。そして、母親が赤ちゃんの欲求を感じとって応じる、という関わりを積み重ねていくことで愛着が形成されていきます。

例えば、お腹がすいて泣けばおっぱいをもらえる。抱っこしてほしくて泣けば抱き上げてもらえる。といったようなことです。

愛着は人に対する基本的信頼感の土台となり、子どもの心の発達や対人関係に大きく影響します。

愛着が及ぼす影響

また、乳幼児期に形成された愛着のパターンは大人になっても持続し、生涯にわたってその人の人生に大きく影響するということが分かっています。

精神科医の岡田尊司先生は、このように言っています。

なんと一歳半の時の愛着パターンは、大人になってからも七割の人で同じ傾向が認められるのである。

しかし、愛着が重要なのは、それが対人関係の原基になるからだけではない。もっと幅広い影響を、生涯にわたってもたらすからである。

というのも、愛着を土台に、その後の情緒的、認知的、行動的、社会的発達が進んでいくからであり、その土台の部分が不安定だと、発達にも影響が出ることになる。

『発達障害と呼ばないで』岡田尊司/著 幻冬舎新書 P113

愛着が安定している人は、他の点で不利なことがあっても、それを撥ね除けて、幸福や安定した生活を手に入れやすい。

しかし、不幸にして不安定な愛着しか育めなかった人は、安心感においても、対人関係や社会適応におうても、生きづらさを抱えやすい。

『愛着障害の克服「愛着アプローチ」で、人は変われる』 岡田尊司 光文社新書 P4

愛着のパターン

愛着のパターンは以下の4つに分類されます。1つは安定型、それ以外の3つは不安型です。

【参考】
愛着パターンを調べるのに「ストレンジ・シチュエーション・テスト」というものが使われています。子どもと母親を一旦離してから再開させるという場面設定をして、子どもの反応を観察します。

【安定型】
安定型は、母親が居なくなると泣いたり不安を示したりする。しかし、母親が戻ってくると素直に喜び、安心して遊びを再開する。
母親との愛着が最も安定しているタイプ。

【回避型】
母親が居なくなっても、無関心に遊びを続けている。母親が戻ってきても特に再会を喜ぶわけでもなく、自分の遊びに熱中している。
ストレスを感じても愛着行動を起こさないタイプ。

【抵抗/両価型】
母親が居なくなると過剰なまでに不安がり、母親が戻ってきてもなかなか自分の遊びには戻ろうとせず、母親がいなくなったことに腹を立て、せっかく戻ってきた母親を拒否したり、たたいたりする。あるいは、またいなくなるのでは、と不安が続いてしまう。

【混乱型(無秩序型)】
一定した愛着パターンが確立されておらず、さまざまな反応が混在して見られる。母親と再会したとき、凍り付くように固まったり、強い当惑を見せたり、そっぽを向きながら近づいたり、といった不自然な反応をみせる。虐待されている子どもに典型的に認められるタイプ。

①HSCは安定した愛着を形成しづらい

ここからは、HSCと愛着の関係について2つのポイントをお伝えしていきます。

まず1つ目のポイントは、HSCは安定した愛着を形成しづらい傾向があるという事です。

全てのHSCが当てはまる訳ではないのですが、まずはそういう傾向があるんだな~ということを知っていただければと思います。

安定した愛着を形成しづらい要素としては、以下の3つがあります。
いずれも、必ずそうだ!という訳ではなく”傾向がある”ということです。

  • 愛着が不安定になりやすい遺伝子をもっている可能性が高い
  • HSCは感情察知能力が高く潜在学習しやすい
  • HSCは気持ちが理解されづらい

順番に説明します。

愛着が不安定になりやすい遺伝子をもっている可能性が高い

HSCは愛着が不安定になりやすい遺伝子をもっている可能性が高いと考えられます。

愛着に関係する重要な遺伝子として、セロトニン・トランスポーター遺伝子というものがあるのですが、この遺伝子には長いタイプと短いタイプがあります。

長いタイプは、ストレスや不安を感じにくい。母親の接し方による影響を受けにくい。

短いタイプは、ストレスや不安を感じやすい。母親の接し方による影響を受けやすい。

という特徴があります。
どちらのタイプを持っているかは、人種によって大きな違いがあります。白人では長いタイプの子どもが7割を占めるのに対して、日本人などアジア人種では、3分の1にとどまります。

つまり、日本人では、3分の2の子どもがストレスや不安を感じやすい遺伝子をもっているのです。

そして母親の接し方による影響を受けやすく、ささいなことでも愛着が不安定になりやすいということです。特徴や割合から推察すると、HSCがこの遺伝子をもつ可能性は高いといえるでしょう。

ここで注意したいのが、短いタイプの遺伝子にはプラスの面もあるということです。

母親がよくかまう場合には、まったく逆に、長いタイプよりも、安定型愛着を示す割合が二倍以上も高いのである。

『発達障害とよばないで』岡田尊司 幻冬舎新書 P150 

短いタイプの遺伝子をもっていても、子どもの気持ちを汲んだ関わりが出来ていれば、長いタイプよりも安定型愛着を示しやすいんですね。

良くも悪くも、母親の接し方による影響を受けやすいということが分かっていただけると思います。

HSCは感情察知能力が高く潜在学習しやすい

HSCは感情察知能力が高く潜在学習しやすいという特徴もあります。

愛着形成は、6か月~1歳半くらいが一番重要な時期だと言われています。HSCは、その時期に、まだ言葉がしゃべれないうちから非言語コミュニケーション能力を発揮します。母親の表情や、声色や、しぐさなどを読み取る能力に長けているのですね。

「早く寝てくれーと思っている日に限って全然寝てくれない」とか「じっと見つめられると、何か見透かされているような気がする」など、思い当たる節があるのではないでしょうか。

アーロン博士も、その著書の中でHSCの感情察知能力の高さについて述べています。

・HSCの感情察知能力の高さは、親たちの経験からも、生まれつき感情や社会性をつかさどる右脳が活発だということからも分かります。子どももおそらく右脳がとても活発に働いていて、「あなた」のあらゆる情報に気づき、学習し、記憶しています。

・HSPは非HSPに比べて、無意識に情報や知識を潜在学習しやすいところがありますが、HSCも同じです。

『ひといちばい敏感な子』エレイン・N・アーロン 1万年堂出版 P226、227

母親からのあらゆる情報をひといちばい感じ取り、学習する能力が高いのです。

親が愛情をもって育てていたとしても、例えば「今日はお母さんの目が笑っていなかった」とか「一緒に遊んでいたのに、お母さんは違う事を考えていた」とか、他の子どもなら気にも留めないような些細な刺激を受け取って潜在学習をしていくため、愛着の形成に影響する可能性があります。

HSCは気持ちが理解されづらい

また、HSCは気持ちが理解されづらいということも、愛着が不安定になりやすい要素のひとつです。

HSCに詳しい児童精神科医の明橋先生は、HSCを育てにくいと感じる理由についてこのように解説しています。

かんしゃくが激しく、文句が多いです。ささいなことで、大げさに騒ぎます。あるいは、ちょっと注意しただけで、逆ギレする。うまくいかないと八つ当たりする。被害妄想的に取る。過度に落ち込むのでフォローがたいへんなこともあります。

友達と遊んでいると、それほどではないことでも、ひどいことをされたと言って、ささいなことで傷ついてしまいます。実際に傷ついているし、それをうまく表現できないから、親に八つ当たりするしかなくて、かんしゃくになっているだけなのですが、時にはわがままとしか思えないこともあります。

あるいは、こんな自分が受け入れられるのか不安で、確かめたいから、試し行動に出ているだけなのに、親にとっては、うんざりしてしまうこともあります。

親もだんだん疲れてきて、イライラしてきます。ところがそういうこちらのイライラをいち早く察知するのがHSCなので、それをされに否定されたと思い込み、余計に逆ギレすることもあります。

本当はひといちばい傷ついている、ひといちばい助けを求めているのに、それをうまく表現できず、逆ギレしたり、意地を張ったりする、という形で出すので、よけいに怒られてしまうのです。

『HSC子育てハッピーアドバイス』明橋大二 1万年堂出版 P91

「親はなんて育てにくいの」と思い、子は「なんで分かってくれないの」と思う。

乳幼児期からこうした悪循環が何度も繰り返されていると、親子の愛着関係が不安定になりやすくなってしまいます。

②HSCは愛着の影響を受けやすい

HSCと愛着の関係について、2つ目のポイントは、HSCは愛着の影響を受けやすいということです。

HSCという概念を提唱したアーロン博士も、著者の中でHSCと愛着の関係について述べています。

ここで愛着について取り上げるのは、HSCは非HSCよりも、愛着が安定しているかどうかの影響を受けるからです。

『ひといちばい敏感な子』エイレン・N・アーロン 1万年堂出版 P235

愛着の影響を受けやすいというのは、どういうことでしょうか?

染みついた愛着のパターンが後の人生に影響しやすい

愛着の影響を受けやすいというのは、染みついた愛着のパターンが後の人生に影響しやすいということです。

HSCは、本人の気持を汲んでもらえるような愛情に満ちた養育を受ければ、安定した愛着パターンを強く記憶するため、安定した大人に育ち、際立った才能を開花させます。

HSCは、大人との愛着で安心感を得ていれば、初めてで刺激の強い状況でも、警戒心は見せるものの、非HSCに比べて特別大きなストレスを受けるわけではないようです。

『ひといちばい敏感な子』エイレン・N・アーロン 1万年堂出版 P235

アーロン博士はこのように、愛着が安定していれば刺激に対してそれほど大きなストレスを受けることはないと言っています。

HSCはストレスのない安心した環境にいると、本来その子が持っている持ち味・良い面が出てきます。安定した愛着があることが、HSCが自分らしく幸せに生きていくことにダイレクトにつながっていきます。

一方、気持を汲んでもらえず愛情不足の環境で育つと、不安定な愛着パターンを強く記憶するため、不安定な大人に育ち、深い問題を抱えがちになります。

「よい子ども時代を過ごしたHSPは、非HSPに比べて、特に不安や抑うつになりやすい傾向はないが、つらい子ども時代を過ごしたHSPは、非HSPよりもその傾向が強い」

『ひといちばい敏感な子』エイレン・N・アーロン 1万年堂出版 P236

HSCは安定した愛着が得られていないと、他の人よりも不安やうつになりやすいという研究結果も出ています。

HSCもいずれ親から少しずつ離れて、世の中に出ていくことになります。慣れない出来事や初めての人に出会うこともあるでしょう。

その時、愛着が不安定だと「自分は誰にも頼れない。自分の意見を言うのは怖い。だれも受け入れてくれない。うまくいかないだろう。」と考えてしまうのです。

他者を信頼できず、自分を表現したり相手を理解しようとすることを恐れてしまいます。

このように、HSCは乳幼児期に形成された愛着の影響を生涯にわたって受けやすい、ということが分かっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
「HSCの育てにくさには愛着が深く関係している」ということをお伝えするため、以下2つのポイントで解説しました。

①HSCは安定した愛着を形成しづらい
②HSCは愛着の影響を受けやすい

HSCは安定した愛着を形成しづらい要素を持っているし、愛着の影響も受けやすい、ということを様々な根拠を示しながらお伝えしてきたのですが、もしかしたら不安になった方もいらっしゃるかもしれません。

「小さいうちに愛着の形成が出来ていなかったかもしれない・・。」
「取り返しがつかないことをしてしまった・・。」

私も、HSCと愛着の関係について知った時にそう思いました。

でも結論は、
「大丈夫、愛着はいつでも取り戻せる」です。
愛着をどうやって取り戻すのかについては、別の記事でご紹介します。

個別にご相談も受け付けております。お子様の状況、お母さまの状況、ご家族の状況を丁寧にヒアリングし、お子様のため、お母さまのため、ご家族のために最適な道を一緒に考えていきます。

個別相談セッション

個別相談セッションを受け付けています。詳細は以下のリンクをご覧ください。

個別相談セッション

test

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です