「HSCは愛着の影響を受けやすい」
「愛着の形成は生後6ヶ月から1歳半頃までが一番重要」
「形成された愛着のパターンは大人になってもずっと変わらず、生涯にわたって人生を左右する」
なんて言われると焦りますよね・・。
私もそうでした。
「もう取り返しがつかないのではないか。」
と思う方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
結論は、「大丈夫、愛着はいつでも取り戻せる」です。
この記事では、医療少年院などで多くの若者の愛着を改善してきた精神科医、岡田尊司医師の言葉をご紹介しながら、愛着の取り戻し方について解説します。
具体的には
・HSCの愛着パターンは変えられる
・HSCが安定した愛着を取り戻すにはどうすればよいのか
・HSC娘の愛着を取り戻した話
の順番でお伝えします。
今から出来ることが分かって安心できるのではないかと思います。
HSCと愛着の関係については、こちらの記事をご覧ください。
HSCは育てにくい?HSCと愛着との深い関係
『発達障害と呼ばないで』岡田尊司/著 幻冬舎新書
『愛着障害の克服』「愛着アプローチ」で、人は変われる 岡田尊司/著 光文社新書
目次
HSCの愛着パターンは変えられる
愛着のパターンは乳幼児期に形成され、大人になっても約七割の人はそのまま変わらないと言われていますが、決して変えられない訳ではありません。
関わり方を変えることによって、子どもの愛着パターンを不安定型から安定型に変えられることも分かっています。
愛着という現象の大きな特徴は、遺伝要因によって決められる部分よりも、体験によって作られる部分が大きく、いったん確立した後でさえも変化し続けると言うことである。
不利な遺伝要因をもっている場合であっても、また、すでに不安定な愛着パターンを示している場合でも、かかわり方を変えていけば、愛着は安定していき、遺伝的特性や気質的傾向は残っていても、あまり問題がなくなり、適応がよくなり、別人のように生き生きとしてくることも多い。
遺伝要因や器質的障害そのものを取り除くことはできなくても、愛着を安定したものに変えることは努力次第で十分可能なのである。
親として、また支援者として、なし得る最善のことは、安定した愛着をはぐくみ、また育みなおすということに尽きるように思える。
『発達障害と呼ばないで』岡田尊司/著 幻冬舎新書 P249
HSCが安定した愛着を取り戻すにはどうすればよいのか
安定した愛着を育むうえで重要なのは、「感受性」と「応答性」です。難しいテクニックはいりませんので、安心してください。
感受性
感受性とは、子どもの気持ちや欲求を感じ取ることです。
例えば、「そばにいて欲しいんだね。」「この場所が苦手なのかな。」「もう帰りたいね。」など。
親がHSPの場合、相手の気持ちを察したり共感したりする力をもっているので、子どもの気持を感じとることは得意かもしれません。
感受性を磨くためには、子どもの様子をよく観察することがポイントです。HSCと一言でいっても、ひとりひとり全く違いますから、子どもの視線はどこに向いているか、どんな表情をしているか、じっくり観察するのです。
まずは1日5分でも良いので、スマホを置いて、子どもをよーーく観察する時間をつくってみてください。
実際にやってみると
「子どものことを見ているようで、見ていなかった・・」
「こんな表情をしてたんだな」
「何度も私の方を見ていたんだな」
など、新しい気付きがあると思います。
そしてだんだん、子どもの些細な変化にも気付くことが出来るようになります。子どもをよーく観察して、感受性を高めていきましょう。
応答性
応答性とは、子どもが反応や助けを求めているときに、それに応える事です。
具体的には、子どもが虫を捕まえて見せにきたら「おぉ、虫見つけたの!すごい色だね。」と感情豊かに反応する。
お友達家族とのバーベキューで、浮かない表情でこちらに目線を向けていたら、「だいじょうぶ?」と声をかけて少し離れたところに連れ出す。
といった感じです。
年齢が上がると会話の内容は変わってくるかもしれませんが、基本的な対応は同じです。
ポイントは、子どもが”求めているときに”反応するということです。
子どもが求めていないのに「こう思っているはずだ」「こうしてあげなくちゃ」と決めつけて一方的に反応しすぎるのは、子どもの負担になってしまいます。
子どもの意志を尊重することが大切です。
まずは相手の気持ちをくむ姿勢をもち、それを繰り返し実践することである。そのためには批判や否定はせずに、また自分が言いたいこと、訊ねたいことはおいておいて、まず相手が言うことに耳を傾け、相手がしていることに関心を向ける。相手を受け止め、肯定し、関心や気持ちを共有しようとするということである。
これを心がけ、実践するだけで、見えるもの、感じるものが違ってくるはずだ。すると、相手の反応もみるみる違ってくる。
『発達障害と呼ばないで』岡田尊司/著 幻冬舎新書 P255
「感受性」と「応答性」この2つを心がけることで、子どもの反応は驚くほど変わってきます。
HSC娘の愛着を取り戻した話
かくいう私も、愛着形成に大事な時期に娘と離れ、愛着を築き損ねたと思っているのですが・・
もうすぐ6歳になる今、「少しずつ安定した愛着を取り戻しつつあるかもしれない!」という経験をしています。
愛着を築き損ねたという後悔
私はフルタイムで仕事をしていたため、娘が1歳になってすぐに保育園へ預けました。慣らし保育の後も何か月も泣き叫んで暴れていたのですが、毎日食べて寝て、とりあえず自分が外に出られる格好をするだけで精一杯で、娘の気持ちを受け止める余裕なんて、1ミリもありませんでした。
その後HSCという概念に出会い、HSCと愛着には深い関係があることを知りました。
それを知ってからは「やってしまった・・私は大事な時期に愛着を築き損ねた。」と後悔しっぱなしでした。
だって、愛着形成に一番重要だと言われている3歳までの時期に、娘と離れ離れで過ごしていたんです。
娘は保育園への行き渋りが本当に激しくて、あんなに必死に「ママから離れたくない」と訴えていたのに。
無理矢理引き離してしまったのです・・。
できることから
しかし、過ぎてしまったものは仕方ありません。今できることからやろうと決心しました。
愛着はいつでも取り戻せると知ったので、まずは娘の気持ちを感じとれるように、私自身が心と体のゆとりを作ることを考えました。そして、娘に気持ちを寄せる時間を意識して作っていきました。「感受性」と「応答性」ですね。
詳しいストーリーはこちらをご覧ください。
はじめまして。自己紹介
娘の変化
すると、3、4か月くらいで状況が変わってきました。娘は4歳になっても先生を蹴り飛ばすほど激しい登園しぶりをしていたのですが・・・
それがすーーっと落ち着いてきたのです。本当に、なんと言ったらいいのでしょう。表現が難しいのですが、すーーっと熱が引くように、落ち着きを取り戻してきたのが分かりました。
そして家では「ねぇねぇママ、あのね」と話しかけてくる回数が増えたのです。今まで「ママあのね」なんて話しかけてくることはあまりありませんでした。きっと、私から声をかけるなオーラが出ていたんでしょうね、、。
今でも、HSCならではの感受性は変わりませんし、かんしゃくを起こしたり、八つ当たりをしてくることも多いです。それでも、以前と比べると「気持ちが安定している」ように感じます。
自分の言葉で気持ちを表現するようになったり、取り乱した状態から自分で復活することもできるようになってきました。
こうした姿を見ると、「ああ、安定した愛着を少しずつ取り戻せているのかな」「母である私が安全基地として機能しているのかな」と思えるのです。
親自身の愛着にも向き合う
また、娘の愛着を取り戻していく過程で、自分自身の愛着も不安定だったことに気付きました。自分の親との関係について向き合い、決着をつけるということもやってきました。
一人ではどうしても難しかったため、自分の気持ちを受け止めてくれて、整理をしてくれて、解決に向けて適切な気付きをくれるカウンセリングを受けました。
私がカウンセリングを受けるに至った経緯やその後の変化については、こちらの記事をご覧ください。
【HSCカウンセリング体験談】身も心もボロボロだった私を救ってくれたもの
まとめ
安定した愛着はいつでも取り戻せるということをお伝えしてきました。小学生でも、中学生でも、高校生でも大人でも、遅いなんて言うことはなく、気づいたその時から行動を変えることで、愛着のパターンは変えられるのです。
特に愛着の影響を受けやすいHSCにとっては、安定した愛着を築くこと、取り戻すことが大きなテーマとなります。
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