HSCを育てる親御さんから相談を受けていると、子どもが嫌がらせを受けている、いじめられているというお話を聞くことがあります。
「まだお母さんと一緒に学校来てる」とからかわれる。
何もしていないのに、すれ違いざまにお腹を蹴られる。
など。
聞いているだけでも胸が締め付けられるような思いですが、私たち親は、HSCがいじめのターゲットになりやすいということを冷静に理解しておく必要がありますし、子どもを守らなければなりません。
この記事では、HSCがいじめのターゲットになりやすい理由と、大切な子どもをいじめから守る3つの方法についてお伝えします。
目次
HSCがいじめのターゲットになりやすい3つの理由
HSCがいじめのターゲットになりやすいのには、どんな理由があるのでしょうか?
ここでお伝えしたいのは、「HSCが悪いからいじめられる」ということではありません。
「HSCは、いじめっこにとって都合がよい要素をもっている」のです。
その要素を3つご紹介します。
①目立つ
1つ目は、目立つということ。
HSCは良くも悪くも周りと違うことが多いため目立ちます。
例えば、
「毎朝母親と一緒に登校している」
「よく泣く」
「授業中に指名されると固まる」
「給食を食べるのが遅い」
など。
本当にささいな事なのですが、学校という均一な集団の中では、少し違うだけで目立ってしまうことが多く、
「なんだ、あいつ」
「また、あの子だ」
と目をつけられやすくなります。
②自分に自信がない
2つ目は自分に自信がないということ。
前項のように、集団の中で「自分だけ違う」「自分だけ出来ない」「自分だけ遅い」といった経験を重ねていくと自己肯定感が下がりやすくなります。
(本当は、その違いこそが「持ち味」であり「才能」なのに!と声を大にして言いたいですけどね・・)
いじめる側は、必ず自分よりも弱い立場の子をいじめの対象とします。自分に自信がなく弱々しく見える子は、いじめの対象となりやすいのです。
③「イヤ」と言わない・やり返さない
3つ目は、「イヤ」と言わない・やり返さないということ。
HSCは自分に厳しく、自分をネガティブに見るという特性があります。たとえいじめられたとしても、「いじめられる自分が悪い」と考えてしまいます。
また、優しくて正義感も強いですので、やってはいけないこともきちんと分かっています。
だから「イヤ」と言わないし、やり返したりもしません。
このような要素をもっているため、HSCはいじめに遭いやすくなってしまいます。
HSCを守るためにできること
さて、それではHSCをいじめから守るためにはどうすればよいのでしょうか?
子どもが話しやすい雰囲気をつくる
子どもが学校であったことを話してくれなければ、子どもがいじめられていることにさえ気付かないかもしれません。お家では、良いことも悪いことも自然に伝え合える雰囲気をつくりましょう。
そのためには、日ごろから、子どもの話を遮らずに最後まで聞くこと、すぐに否定したり正論で返したりしないで一旦受けとめることが大切です。
それから、子どもは親の姿をよく見ていますので、親自身も、自分の感情をちゃんと感じて表現することを意識しましょう。
「きいて~!ママ今日は会社で嬉しいことがあったの。」
「あーなんだか疲れちゃってプンプンしてる。今夜はコンビニご飯にしよ。」
といった感じです。
自己肯定感を育てる
子どものいいところも、悪いところも含めてまるごと愛して、自己肯定感を育ててあげましょう。自己肯定感とは「自分は大切な存在だ」「私は私でいいんだ」という思いです。
自己肯定感が低いと、相手の言いなりになってしまったり、「いじめられる自分が悪い」と思い込みやすくなりますが、自己肯定感が高い子は、嫌なことをされたときに「イヤ」と言えます。自然と、いじめを引き寄せない心が育っていきます。
いじめのある環境から離れる
いじめられていることが分かった場合、学校側に相談して対応を取っていくと思いますが、対応が望ましいもので無かったり、改善の兆しが見えない場合は、思い切ってその環境から距離を置くことも大切です。
明橋先生は著書でこのように述べていますが、本当にその通りだと感じます。
ちょっと長いですが、素敵な名台詞も紹介されているので載せますね。
もちろん、学校や保育園は大事な意味もあるけれども、そんな死ぬような思いまでして行かなければならない所では、決してないと私は思っています。
実際ですね、いじめ自殺、毎年何十人も報道がありますよね。いじめ自殺っていうのは、 学校に行かなければ死ななくてよかった人です。学校に行ったがために、傷ついて死を選ばざるをえなかったわけですよね。
ですから、もちろん、学校や保育園の意味を私はよく分かっていますけれども、命を削ってまで行かなくちゃいけない所ではない。
(中略)
私の大好きな小説に、『西の魔女が死んだ』(梨木果歩・著)があります。映画にもなっています。これは女の子が不登校になって、おばあちゃんのところに預けられ、そこで魔女訓練を受けるという物語です。いろんな生活の知恵を教えられるという話なんですけれども、おばあちゃんの言う名台詞があるんですよね。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ(中略)。シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」
『何かほかの子と違う?HSCの育て方 Q&A』明橋大二 1万年堂出版 p76~79
まとめ
HSCがいじめのターゲットになりやすい理由と、大切な子どもをいじめから守る3つの方法についてお伝えしました。
HSCが生まれながらに持っている気質は大人になっても変わりませんが、いじめを引き寄せない心を育てることは出来ます。
キーワードは自己肯定感。遠回りのように見えても、やはり「自分は大切な存在だ」「私は私でいいんだ」と思えることが自分を守る一番の武器になります。
そして、HSCの子も、親も、頑張りすぎてしまうことが多いですから、もしいじめに巻き込まれてしまった場合は、勇気を出して休んだり逃げたりしてください。
学校という小さい世界の中で苦しんでいたらもったいないです。学校以外の広い世界に、子どもを大事にしてくれる人がいるんです。他に居場所はきっと見つかります。
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