子どもがHSCであることが分かっても、
「どう受け止めたらいいんだろう」
「どう対応したらいいんだろう」
と不安な方も多いと思います。
みなさんは書道家の武田早雲さんをご存知ですか?
今は、数々のテレビドラマの題字を手掛けたり世界中でパフォーマンスを行ったり、日本を代表する書道家として活躍されていますが、幼少期には周りの子とは少し違うところがありました。
そんな早雲さんを、親御さんはどのように育てたのでしょうか?早雲さんご家族の一風変わったストーリーをご紹介しながら、
HSCが自分の才能を発揮して活躍するために、親ができること
をお伝えします。
HSCを育てる親にとって「なるほど!」と参考になる考え方が満載です。
目次
HSCにどう対応する?武田双雲さんの育ちから学ぶ
まずは、武田早雲さんの子ども時代の様子、親御さんの接し方について紹介していきます。(NHKインタビューここからより)
どのような子ども時代だった?
双雲さんは、落ち着きがなく、後先を考えず衝動的に行動する少年でした。
その一方で、文字には強く関心を持ち、3歳から母親の元で書道を習いました。
◆骨折りの常習犯
少年時代の早雲さんは「やってみたい」と思うと考えるより体が先に動いてしまい、骨折ばかりしていました。血だらけで帰宅することもあったとか。
「走ってて急に止まりたくなって、止まろうと思ったら止まれなくて、壁にぶつかって何針も縫うとか。」
◆部活ではチームから孤立
部活は、サッカー部や野球部に入っていました。しかし人間関係がまったく上手くいかず、先生やチームメイトからあきれられ、次第に孤立していきました。
「身体が大きくて運動神経もいいので、最初は期待されるけれど、試合に集中できないんですよ。試合中、大事な場面で雲見てるんで、シュート決められちゃうんですよ。」
◆バイトは20分でクビ
初めてのバイトは年賀状の仕分けでしたが、これも上手くいきませんでした。
「最初の1枚を手に取ったら、住所の東の左はらいが長すぎて名前に突き刺さってるんですよ。うわこれやべえ!ってやってたら怒られました。それで2枚目見たら、様の最後のちょんちょんが蛇みたいにクルクルになってたんですよ。うわこれ真似したい~なんてやってたら、もう君辞めるか?って言われて。20分でクビになりました。」
ええーめっちゃ破天荒!って感じですよね・・。
親はどのように接していた?
こんな早雲さんですが、親御さんはどのように接していたのでしょうか?
競輪専門誌ライターのお父さまも、書道家のお母さまも、決して早雲さんの行動や発想を決して否定しませんでした。
「教育とか一切ないです。親はいつも自分のやることに”すごい!天才だな!”と本気で感動してくれていたんです。人と比べられたことも無いし、成績も聞かれたことも無ければ、将来どうするか聞かれたことも無い。ただ、毎回感動してくれるだけです。
もし、普通の人間と同じような行動を親に求められていたら、いやちょっと想像つかないですね。地獄だったと思います。頑張っても出来ないから。」
HSCにどう対応する?大切なのは自己肯定感を育てる事
武田早雲さんの親御さんの接し方から、私たちは、HSCを育てる親としてどのようなことが学べるでしょうか?
どの対応にも「自己肯定感を育てる」という姿勢が共通しています。
自己肯定感とは?
「自分は生きている価値がある」「自分は大切な存在だ」「生きていていいんだ」「私は私でいいんだ」という、いわば、自分の存在に対する自信です。『HSCの子育てハッピーアドバイス』明橋大二 1万年堂出版 2018年出版 P107
2つのポイントに分けて説明します。
1つ目は、自己肯定感を下げないために出来ることです。
2つ目は、自己肯定感を高めるために出来ることです。
①自己肯定感を下げないために~子どもに世の中の常識を押し付けない~
「チームの輪を乱さないように」
「始めたことは最後までやりきりなさい」
もっともらしい言葉ですが、早雲さんの親は、部活で人間関係がうまくいかなかった時も、バイトをクビになった時も、このような事は言いませんでした。
つまり、子どもに世の中の常識を押し付けないということです。うっかりすると子どもの存在自体を否定するような対応になってしまうからです。
HSCは様々な刺激に敏感で、保育園や幼稚園、学校の中で上手く適応できないことがどうしても多くなりがちです。
親は上手く適応できない子どもの姿を見ると、つい「他の子と同じようにさせなきゃ」と思ってしまいます。
「ほら、〇〇ちゃんは出来ているよ」
「しっかりしなさい」
などと言ってしまう事もあるでしょう。
そんな時子どもは、「上手くできない自分はダメなのだ」と、感じています。
HSCは特に、
・しつけの影響を受けやすい
・自分に厳しい
という傾向があります。
そのため、親はちょっとした注意のつもりで言っていても、子どもは自分を全否定されたように感じ取り、自己肯定感が低くなってしまいがちです。
確かに、集団の中で周りに迷惑をかけることもあります。親だからこそ、このままではいけない、何とかしなければいけないという思いに駆られることもあるでしょう。
それでもやっぱり、「この子はこのままでもいいんだ」という原点に立ち戻ってほしいのです。
子どもを世の中に合わせるのではなく、子どもに合った道を選んでいけば良いのです。
子どもに世の中の常識を押し付けないというのは、HSCの子どもを守るためにとても大切な事なのです。
②自己肯定感を高めるために~子どものやることに本気で感動する~
「親はいつも自分のやることに”すごい!天才だな!”と本気で感動してくれていたんです。」
早雲さんはこう振り返ります。
親は心の底からすごいと思って感動していたのでしょうね。上から目線でほめていたり、いい子に育てようと誘導するために褒めたりするのとは違うんですね。
HSCは人の気持ちを敏感に察知しますので、大人がうわべだけで褒めている場合や、誘導しようとしている場合は簡単に見透かします。逆に、相手が心から感動しているということもしっかりと感じ取ります。
親が心から感動して自分のことを「すごい!」と言ってくれると「えへへ。ぼくは、これでいいんだ」という自己肯定感が育ちます。そして自己肯定感は、子どもが生きていくための強い強い土台になります。
子どものやることに対して、本当に感動できる親でいられたら良いですよね。
子どもは1人1人みんな必ず素晴らしい才能をもっていますから、「この子はどんな才能を見せてくれるんだろう?」という目で見ていると、何気ない子どもの普段の行動も、受け止め方も変わってくるのではないかと思います。
【実践!】「子どものやることに本気で感動する」をやってみた
ということで、実際にやってみました。
ご興味のある方はお付き合いください^^
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朝、靴下でフローリングをシューっと滑りたくなった娘。
クローゼットから自分の靴下を全部(!)出してきて、滑り心地を確かめようとしていました。
もう出かける時間だったのですが、
その日は「もう、後にしてよ!」という言葉をぐっと飲み込んで、ちょっと待ってみたんです。
娘は、10種類ぐらいあった靴下を1つずつ全部履いて、どれが一番滑るかを確かめていました。
早雲さんのお話を思い出しながら娘を観察していると、
・気になったことを最後まで探求する才能
・周囲の状況を気にせず集中する才能
があるんじゃないか!?
なんて思えてきたのです。
しばらくして娘は、「これがいちばん滑る!」っと目を輝かせて玄関まで滑ってきました。
シュー!!
「すごい!天才じゃん~!」と言うと、娘は恥ずかしそうに、でもとても嬉しそうにはにかんでいました。
お、わたし、「子どものやることに本気で感動する」が出来たんじゃない?
と思った出来事でした。
子どもの才能ってこういう何気ない日常の中で見つけられるんですよね。
出かける時間はちょっと過ぎちゃったけど、親の方もとっても誇らしい気持になりました。
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まとめ
書道家武田早雲さんのエピソードから、HSCを育てる親が大切にしたいことについて探ってみました。自己肯定感を育て、生きていくための土台をしっかり作ることが、その子が本来持っている力を発揮することに繋がるのですね。
早雲さんが自分の特性を愛し、生き生きと活躍されている姿を見ると、本当にその通りなんだなと感じます。テレビのインタビューの中で「楽しいです!」と少年のような笑顔でキャンバスに向かっていた姿が印象的でした。
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