「うちの子はHSC。でも親が勝手にそう思っているだけかもしれない・・。」
と考えたことはありませんか。
HSCは病気や障がいではないので、病院で「HSCです」と診断されることは基本的にありませんが、病院に行くことで得られるものもあります。
そこでこの記事では、HSCが病院に行くメリット・デメリット、病院の選び方について分かりやすく解説していきます。
具体的には、
- HSCが病院に行くメリット
- HSCが病院に行くデメリット
- HSCの病院の選び方
の順でお伝えします。
目次
HSCが病院に行くメリット
HSCが病院に行くことのメリットを3つご紹介します。
①検査を受けることができる
②医師による診断書・意見書がもらえる
③根本的な課題が見つけられる
①検査を受けることができる
まず1つは、発達検査や知能検査を受けられることです。
発達検査や知能検査というと、乳児検診などで発達の遅れが疑われる場合にすすめられることが多いイメージがあるかもしれませんが、実はHSCの子育てにとても効果的です。
代表的な検査にはこのようなものがあります。
発達検査は、子どもの実際の年齢と発達年齢の差がどのくらいあるのかを計測する検査です。0歳から受ける事ができます。
新版K式発達検査
対象年齢:0歳~
所要時間:30分~1時間程度
形式 :1対1で実地。おもちゃなどを使って遊びの中で検査します。
乳幼児精神発達診断法
対象年齢:0歳~
所要時間:20分程度
形式 :母親などの養育者が、約130項目からなる質問に回答します。
知能検査は、子どもの知能がどのくらいあるのかを計測する検査です。おおよそ2歳以降から受ける事ができます。
WISC-Ⅳ
対象年齢:5歳~16歳
所要時間:60~90分程度
形式 :1対1で行う個別式の検査です。
田中ビネー知能検査Ⅴ
対象年齢:2歳~
所要時間:30分~1時間程度
形式 :1対1で行います。言葉をほとんど使わず、問題をジェスチャーで示して動作でこたえさせます。古くからある検査方法なので扱っている機関が多いようです。
検査を受けると、今まで漠然と捉えていた子どもの得意・不得意や、発達の特徴などを客観的なデータで見ることができます。
そして、適切な接し方や支援の仕方を知ることができます。
例えば、「言葉で伝えても、何を求められているのかを理解することができない。」
だから、「何かを伝える時には、絵や色などの視覚的な情報を使って示していくと良い。」といった具合です。
医師による診断書・意見書がもらえる
病院にいくメリットの2つ目は、医師による診断書や意見書がもらえることです。
学校で特別支援級での授業を希望したり、自治体が運営している放課後デイサービスを利用したりするとき、医師による診断書や意見書が必要になる場合があります。(必要な書類は、学校や自治体によって違いますので確認が必要です。)
小学校の先生から「特別な配慮をする場合は診断書が必要です。」と言われた親御さんもいました。
「HSCです」という診断は基本的にされませんが、HSCとは別の疾患や障がいに該当すると診断されれば、診断書がもらえます。HSCの中には、発達障がいをあわせ持っている子もいると言われていますので、診断される可能性はあるかもしれません。
疾患や障がいがない場合でも、意見書をもらえれば、必要な支援を受けやすくなる可能性もあります。
診断書や意見書がなくても、1人1人に必要な配慮が届く世の中にしたいと切実に思うのですが・・・。
必要な支援を受けるために病院を受診するというのは、1つの手段でもあるのかもしれません。
③根本的な課題が見つけられる
病院にいくメリットの3つ目は、根本的な課題が見つけられるということです。
表面的に見える問題だけではなく、根本的な課題まで深く診てくれる病院もあります。単に、HSC、発達障害、ということだけでなく、もっと深いところをしっかり見つめるということなのです。
日本におけるHSCの権威である長沼睦雄医師は、子どもを本当に救うためには、子どもの心にからむ、過去のトラウマや愛着障害などの深いところまで診ることが必要だという考えをお持ちです。
子どもに表れている問題は、子どもだけではなく、親や祖父母の状態まで関係しているそう。このような考えをお持ちの医師にかかると、根本的な課題まで掘り下げることができるでしょう。
最近はWEB診療も始まりましたので、遠方の方もぜひチェックしてみてください。
とかちむつみのクリニック
http://mutsumino.info/online.html
HSCが病院に行くデメリット
一方で、HSCが病院に行くデメリットもいくつかあります。
- 親の心理的負担になる
- 子どもが行きたがらない
- 医師がHSCのことを知らない
- 診断は1回では出ない
- 診断が正しいとは限らない
親の心理的負担になる
子どもの発達に関して心配しているときに、病院に行って子どもに検査を受けさせるというのは、親にとって心理的負担になるかもしれません。
「病院に行くのは怖い。もし発達障害だと診断されたら受け止めきれない」という声も聞きます。親が気持ちが向かない場合は、どうか無理しないでくださいね。
子どもが行きたがらない
そもそも、子どもが病院に行きたがらないということも少なくありません。初回は親だけが病院に行って状況を説明するパターンもあるようですが、診察や検査を受けたりするためには子ども本人が病院に行く必要があります。
しかも、大きな病院や人気の医師の場合は予約はなかなか取れませんから、その日、その時間に子どものコンディションを合わせていくのは、予想以上にエネルギーを消耗するかもしれません。
医師がHSCのことを知らない
医師がHSCのことを知らない場合もあります。診療内科や精神科の医師でも、HSCのことを知っている医師はほぼ居ないと思っていた方が良いかもしれません。HSCを知っていても、それを診察の概念として取り入れている医師は本当に少ないです。残念ながら、まだそれが現状です。
HSCについて詳しく知りたい、HSCという観点で診て欲しい、HSCについてアドバイスが欲しいと思って受診すると、期待外れになってしまうかもしれません。そういう場合はHSCに精通した医師を選ぶ必要があります。
診断は1回では出ない
検査や問診の結果などから、医師が総合的に診断をするのですが、診断されるまでに時間がかかることもあります。少なくとも、1回で診断されることはないでしょう。検査をしたり、経過観察をしたりしながら、数か月、長い場合は2年もかかったという例もあります。根気が必要です。
診断が正しいとは限らない
ようやく出た診断でも、正しいとは限りません。ある程度の年齢になると、分かっているのに検査でわざと違う答えをしたり、質問に答えなかったりすることも出てきます。数回の通院では分からない事も多いのです。
ある病院で「自閉症」との診断を受けた子が、療育を受けても一向に状況が良くならなかったので、セカンドオピニオンで別の医師のところに行ったら「見誤っている。」と言われたという話も実際にあります。医師の診断が絶対と捉えずに、おかしいと思ったら他の専門家の意見を仰ぐことも必要です。
HSCの病院の選び方
さて、それではHSCはどのように病院を選んだらよいのでしょうか?
事前の心構え
病院を選ぶ前に、何を目的として受診するのかを明確にしておくことが大切です。目的によって、病院の選び方も変わってきます。目的は、例えばこんな感じ。
①検査を受けるため
(子どもの発達の特徴を客観的に捉えて、適切な対応の仕方を学びたい)
(発達障害の可能性も考えているので調べたい)
②愛着やトラウマなどの深い課題を診てもらうため
③HSCに精通した医師に子どもを診てもらってアドバイスをもらうため
どんな病院の何科に行けばいいの?
どんな医療機関に行けばよいのか?目的別に紹介していきます。
①検査を受けるため
(子どもの発達の特徴を客観的に捉えて、適切な対応の仕方を学びたい)
(発達障害の可能性も考えているので調べたい)
大学病院や総合病院のにあるこのような科で検査を受けることができます。ただ、個人的に専門の医療機関を探すのは難しいこともあるかもしれません。
近くに専門医がみつからない場合は、地域の保健センターや児童相談所、かかりつけの小児科医、総合病院の小児科、発達障害者支援センター、スクールカウンセラーなどに相談すれば、専門の医療機関を紹介してくれます。
◆民間サービス
発達検査や知能検査は、民間サービスでも受ける事ができます。
LITALICO(リタリコ)
https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/shinri/
ステラ幼児教室・個別支援塾
https://www.stella-edu.com/developmental-disorder/wisc/
②愛着やトラウマなどの深い課題を診てもらうため
http://mutsumino.info/index.html
◆岡田クリニック 岡田尊司医師
http://www.clinic.kokoro-support.net/
③HSCに精通した医師に子どもを診てもらってアドバイスをもらうため
https://www.shinseikai.jp/doctor/doctor0031.html
◆とかちむつみのクリニック 長沼睦雄医師
http://mutsumino.info/index.html
医療機関に行く前にやっておくこと
最後に、医療機関に行くことになった場合に、事前にやっておくと良いことを紹介します。診察の時間には限りがありますので、時間内で効果的に話ができるような準備が大切です。
◆生まれてからのことをまとめておく
専門の医療機関に相談する際、ほとんどの場合、子どもの過去~現在までの説明が必要になります。
相談する前に、生まれてからのこと、言葉を話し始めたときのことや、母子手帳に書かれている検診の内容、保育園・幼稚園・学校などからの報告をまとめておきましょう。
まとめる際には、以下の観点を参考にしてみてください。
・出生歴や発育歴
(母子健康手帳などが参考になる)
・既往歴
(過去に罹った病気の経歴。 これまでにどのような病気にかかったか、アレルギーや持病、大きなけがをした経験はないか、といった事柄)
・家族歴
(子からみた両親、兄弟姉妹、その他の家族の現在および過去の疾患に関する記録のこと。 その家系における特定の疾患の発生パターンが示される場合もあるため)
・保護者の方から見た家庭での様子、困りごとなど
・幼稚園、保育園に通っている場合は園でのの様子や困り事など
(担任の先生に記録してもらった連絡帳もあるとよい)
・小学校に通っている場合は学校での様子や困り事など(通知表やお子さんの自筆によるノートなどもあると良い)
・その他、子どもが書いた絵など
まとめ
HSCが病院に行く際には、メリット・デメリットを理解し、受診の目的を明確にしてから行くことが大切です。
病院に行くことで子どもへの理解が深まり、子どもの健やかな育ちにつながるといいですね。
また、親御さんが気持ちが向かない場合は無理に病院に行く必要はありません。少しでも気になることがあれば、まずはお住まいの地域の「育児相談」「発達相談」の窓口に相談することから始めてみてもいいかもしれません。
私も、娘の育児に行き詰まってしまって最初に電話したのが、地域の発達相談の窓口でした。心がほっと軽くなりますよ。
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