「保育園いきたくない」「服きつい」「これ変な味」「暑い」「寒い」「音がうるさい」「もう帰りたい」
HSCの子はさまざまな刺激に敏感なので、よくこんな事を言っているのではないでしょうか。
HSCの特徴からくるものだとは分かっていても、一日中何度も何度も言われると
「はぁ、またか」
「もう、わがまま言わないでー」
なんて思ってしまうこともあるでしょう。
また、子どもの気持ちに寄り添った対応をしていると、祖父母から
「甘やかしすぎ」
「子どもの言いなりになるのはよくない」
と言われて心が折れてしまうことも。
そこでこの記事では、
- HSCのわがままにどう対応すれば良いのか
- 周囲からの「甘やかし」という圧力をどう受け止めれば良いのか
という悩みを解消していきたいと思います。
具体的には
- HSCのわがままに隠れた本音とは
- HSCのわがまま対応法
- 周囲から「甘やかし」だと言われたら
の順番に重要なポイントをご紹介していきます。
HSCのわがままに対する見方が変わると思います。
目次
HSCのわがままに隠れた本音とは
子どものわがままにどう対応すればよいのか?
というところに目がいきがちですが、HSCのわがままにはどんな本音が隠れているのでしょうか?
HSCは敏感で疲れやすい気持ちを満たして欲しい
HSCがわがままを言うときは、「敏感で疲れやすい気持ちを満たしてほしい」と思っている場合がとても多いです。
HSCは周囲の状況や相手の気持ちをよく感じ取りますので、
「今はわがまま言ってはいけないな」ということを比較的よく理解しています。
幼いうちは、自分が敏感だとか疲れやすいということを自覚していませんし、言葉でうまく表現することもできません。
保育園から帰ってくると「抱っこ抱っこ」と足にしがみついて離れない。
「もう、手すら洗えないしご飯の支度もできないわ。」なんて思ってしまいます。
でも子どもは、一日中たくさんの刺激を受けて本当によく頑張って帰ってきたのです。
「お母さん、何だかとってもつかれたよ。ゆっくりしたいよ。甘えたいよ。ほっとしたいよ。」
と思っているのです。
HSCのわがままは子育てがうまくいっている証拠
子どもがわがままという形で気持ちを出せるのは、子育てが上手くいっている証拠です。
『子育てハッピーアドバイス』著者の明橋先生、『ひといちばい敏感な子』著者のアーロン博士も以下のように言っています。
なんでこんなに手がかかるんだ、と参っているお母さんの救いになるような言葉ですね。
手がかかる状況になっているときは、子育てが上手くいっている証拠。
安心できる環境だと、細かいことを聞いてきたり、かんしゃくを起こしたり、文句が多かったり、ある意味、手のかかる子になります。
ですから、HSCが、とても手がかかる状態になっているときは、その環境は、とてもいい環境で、子育てがうまくいっている証拠です。安心して自分を出せるから、そのようになっているのだと思っていただきたいと思います。
『HSCの子育てハッピーアドバイス』明橋大二
親が子供の感情を受け入れ、そばにいて聞くようにすればするほど、幼いときは”問題”が多くなります。
なぜなら、子どもは、怒りや興奮、イライラした、傷ついた、怖かった、圧倒されたという感情を自由に表現してもいいと感じるからです。
『ひといちばい敏感な子』エレイン・N・アーロン
HSCのわがまま対応法
それでは、HSCのわがままに対してどのように対応していけばよいのでしょうか?
子どもが望んだことは、満たしてあげても大丈夫
基本的には、子どもが望んだことは、満たしてあげても大丈夫です。
「抱っこ」と言ったら抱っこしてあげる。
「こっち来て」と言ったらそばに行ってあげる。
「着替えさせて」と言ったら着替えさせてやる。
「保育園は嫌だ」と言ったらたまには休ませてみる。
といった具合です。
なぜなら、HSCは「敏感で疲れやすい気持ちを満たしてほしい」と思っているからです。その気持ちが満たされれば、わがままは自然と落ち着いてきます。
多くの親子を支えてきた児童精神科医の佐々木正美先生も、このように話しています。
子どもが望んだことは、満たしてあげても大丈夫です。
子どもは、自分でできないからそうしてほしいというのではなく、気持ちを満たしてほしいから、そいういっているのです。
子どもの望んでいることを聞いてあげたからといって、自分でできることも、できない子になってしまうなんていうことはありませんよ。
子どもが望んでいることを、望んでいる通りにやってあげている分には、いくらやっても大丈夫なんです。
そして、子どもは自分が望んでいることが十分に満たされれば、しっかり自律し、じきに自立的に親から離れていくものです。『続こどもへのまなざし』より
「ものの要求」は限度をわきまえて
そうすると、例えばおもちゃが欲しい、お菓子が欲しいと言われた場合でも、子どもの望むままに応えていいの?
という疑問がわいてきますね。
わがままには、「ものの要求」と「心の要求」があります。
例えば子どもがおもちゃやお菓子を買って、買って、とせがむのは「ものの要求」
膝の上に乗っかってくるとか、手をつなぎたがるのは「心の要求」です。
基本的には、子どもの心は「もの」では満たせないと思ってください。
不思議なもので、「心の要求」をたくさん満たしてあげていれば、それだけ子どもは「もの」を要求しないものです。お金ではなく、心や手をかけるということです。
たとえ「もの」を買い与えることがあっても、できるだけ限度をわきまえること、そして、「もの」で子どもの要求を満たすことは、できるだけ減らそうという気持ちも大切です。
周囲から「甘やかし」だと言われたら
HSCの親が周りからよく言われる言葉に、
「甘やかしすぎ」
「過保護」
「子どもの言いなりになるのはよくない」
といったものがあります。確かに、HSCの子に対する親の接し方は、周囲の目にはそのようにうつることがあります。
でも、HSCの親の対応は決して間違ってはいません。HSCは、空腹や疲れ、緊張、イライラといった不快な状況になると、すぐに心が不安定になったり、自制心を失って言うことをきけなくなってしまうことがあります。
子どもの要求を受け入れることは、子どもの心を守るために必要なことなのです。
一般的なアドバイスはほどほどに
ママ友や祖父母からのアドバイスは、HSCにとっては刺激が強すぎるということも覚えておいてください。
5人に1人がHSCと言われていますから、ママ友が5人いたとしたら、そのうち4人はHSC子育てのことを知らないのです。5人中4人のアドバイスは的外れで、HSCには合わない。そのくらいに思っていると気が楽ですね。
例えば公園で遊んでいて帰る時間になった時、子どもが「まだ帰りたくない」と言ったとします。
親が「そっかー。帰りたくないのかぁ」なんて返事をすると、ママ友が
「えー優しすぎるよー。うちなら無理矢理手を引っ張って連れてくけど。」
「うちは、お菓子でつるかな。」
なんて声をかけてくる。
でも、HSCの子にそんなことをしても上手くいかないんですね。
無理矢理引っ張ろうものなら、余計火がついて手が付けられなくなる。お菓子でつろうものなら、そんな事では動かないと見透かした態度をとる。
結局、「帰りたくなったら教えてね」と言って待つのが一番早かったりします。
HSCの親は、こういうことを繰り返して、今のやり方にたどり着いているんですね。色々試してきて、結局「子どもの気持ちを受け止める」のが一番近道だと気付いていると思います。
それで大丈夫なのです。
「何が正しいか」ではなくて「何が効果的だったか」で決めれば良いのです。
必要な相手なら理解してもらう努力を
とはいえ、夫や祖父母、担任の先生など、身近な大人に理解してもらえない辛さはありますね。
この人にはどうしても分かってもらいたい、という人もいるでしょう。
そんな時、感情的に訴えてもやっぱり上手くいきません。冷静な態度で、客観的な情報を伝えるのが効果的です。
例えば、HSCに関する本を渡すなど。
『HSCの子育てハッピーアドバイス』明橋大二 1万年堂出版
この本には、HSCの特徴と、身近な大人が接するときに大切なことが書かれている章があります。そこをコピーして、夫や、祖父母や、学校の先生へ渡したという方もたくさんいらっしゃいます。
ちゃんと知識を伝えると、「そうだったのね」と理解して対応を変えてくれる人もいます。
どうしても難しければ境界線をひく
残念ながら、どうしても理解しようとしない人、対応を変えてくれない人もいます。
そういう時は、他人と自分を区別する境界線をひくと良いでしょう。
自分は自分。他人が許可なく自分の領域に入ることは許されない。
逆に自分が他人の領域に無断で入ることも許されない
という考え方です。
もちろん、他人の意見は尊重すべきですが、他人が自分の事を全て知っているわけでも、他人が言っていることが全て正しいとも限りません。他人の意見に従う必要もありません。
最終的には、自分で決めて自分で責任をとっていくのです。
このように他人と自分を区別する境界線がひけるようになると、だいぶ楽になります。
個別相談セッション

まとめ
ここまで、以下についてお伝えしてきました。
- HSCのわがままに隠れた本音とは
- HSCのわがまま対応法
- 周囲から「甘やかし」だと言われたら
大切なのは、周囲のアドバイスに惑わされず、自分の子どもをしっかり観察して、その子に必要なことを親が考えていくことです。
うまくいったり、いかなかったりするけど、こたえは目の前の子どもが全て教えてくれます。どうか自信をもってくださいね。
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